特集 腫瘍の外科
研究と報告
胃サルコイドージスの1例
本田 盛宏
1
,
石川 文夫
1
1東京逓信病院外科
pp.1080-1083
発行日 1966年8月20日
Published Date 1966/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204058
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サルコイドージス(以下サと略記) Sarcoidosis邦名類肉腫症は,近年全身性疾患として注目され,その重要症状の所在に従つて内科眼科皮膚科などで取り扱われているが,文献によると1875年英国のHutchinsonが今日から考えればその皮膚変化に当ると思われるものを初めて記載,同様の皮膚変化を1889年フランスのBesnierは凍瘡状狼瘡Lupus pernio,1899年ノルウェーのBoeckは類肉腫Sarcoidとしたが,1905年ZielerはBesnierの凍瘡状狼瘡とBoeckの類肉腫が同症であるとした.その後Schaumannは皮膚.リンパ節,扁桃,脾,肺および骨に共通した変化のくることを認めて1種の全身性系統性疾患とし,1934年その見解を発表,今日本症はMorbus Besnier-Boeck-Schaumannとも呼ばれている.ここに報告するような胃に本症の変化を認めた胃サの第1例は1936年Schaumannの発表にかかわる.
全身性疾患としてのサについて,侵されるおもな臓器は肺,皮膚,眼,リンパ節,骨,脾,肝,耳下腺また鼻腔,副鼻腔,骨格筋その他口唇,舌,中枢神経などで消化管の侵されることはきわめて少ない.
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