EDITORIAL
サルコイドージス
細田 裕
1
1国鉄東京保健管理所・内科
pp.536
発行日 1967年4月10日
Published Date 1967/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201742
- 有料閲覧
- 文献概要
世界の本症研究者の書棚には必ず1冊の小冊子,"Bibliography on Sarcoidosis"が見られるだろう。これには過去の全文献がのせられており近年の国際協力研究の機運の一つの副産物といえよう。不可解な全身病である本症もここ数回の国際学会などを通じてその姿はかなり明らかになつてきた。
一般に原因不明の病気を研究するにはまず疫学的さぐりをいれ,およその見当をつけたところを掘り下げるのが近ごろのやりかたである。疫学的にみると,欧州でも日本でも,新発見は北から南へと減り,20歳台の高い山につぐ50歳台の山がある。またここ数年の本症の急増はおもに医者側の関心の高まりによるらしい。本症の進展は肺門リンパ節から肺におよぶとされてきたが岡,岩井らは病理解剖学的には肺のほうが初発であると唱え反響をよんでいる。免疫学的特徴として血清中の循環抗体はそこなわれないが細胞性抗体が関与するツベルクリン反応はおさえられる。しかし発病前のツベルクリン反応の強い人は発病時の反応も強い傾向にある。発病時に一度弱くなつた本反応が病気の治癒とともにもとに戻るかどうかについては昨年のパリの国際サルコイドージス学会で,「戻る」という私どもと「戻らない」というIsraelらの成績は相反していた。一方20年ほど前から登場のKveim反応は臨床的応用とはべつに,人のつくりうる唯一のサルコイド結節としての意味をもち,ツ反とならんで本症解明の鍵を与えうるだろう。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.