Japanese
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特集 脳・頸部・胸部の症例
頭蓋陥没骨折ならびに硬膜損傷の治療経験
Treatment of depressed skull fracture and dural injury
西本 詮
1
,
八木 健
1
,
増川 禎彦
1
,
杉生 了亮
1
,
梅田 昭正
2
Akira Nishimoto
1
,
Takashi Yagi
1
,
Sadahiko Masukawa
1
,
Ryosuke Sugiu
1
1岡山大学脳神経外科
2岡山市川崎病院脳神経外科
1Dept. of Neurological Surgery, Okayama University Medical School
pp.1157-1159
発行日 1964年9月20日
Published Date 1964/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203410
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はじめに
近時,交通災害の急激な増加に伴ない頭部外傷の患者も年々倍加する傾向がみられる.これらに対しては,とくに救急治療としての頭蓋内血腫の診断と手術や,低体温法などが注目を集めているが,頭蓋陥没骨折や硬膜損傷に対する整復・補填などの成形手術についての論議は比較的等閑に付されがちである.しかしながら,外傷は決して同一ではなく,一つ一つの症例によつてその状況が異なるため,治療すなわち成形手術を一律に規定することは困難であり,したがつて,手術方法の細部は各外科医のその時その時の判断にゆだねられることが多い.一方,合成樹脂化学の発達によりいろいろな補填材料が考案されてこの方面に応用され,治療上非常に便利になつたが,各症例に適合する材料をすみやかに得ることは必ずしも容易ではない.
われわれはこのような現状において,とくに一定の方針に偏することなく,個々の症例に対して適当と思われる方法で,しかも手軽に得られる材料を用いて手術を行なつてきた.そこで,ここに最近2年間に岡山大学ならびに川崎病院の脳神経外科において,われわれの取扱つた頭蓋陥没骨折35例,硬膜損傷15例および外傷以外の原因による頭蓋骨欠損5例,硬膜欠損7例に対する整復手術ないし成形手術の経験につき報告し諸賢の御批判を仰ぎたいと老える次第である.
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