特集 母乳トラブルの解決
陥没・偏平乳頭への対応
朝隈 聖子
1
1朝隈助産院
pp.451-454
発行日 1996年6月25日
Published Date 1996/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901485
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
母乳トラブルで相談にくる母親のうち,陥没・偏平乳頭のため,直接授乳ができないという悩みを持つ人はおよそ2割を占めている。その場合,ほとんどのケースが哺乳ビンでミルクや搾母乳を授乳しているため,乳汁分泌不足を招き,乳房全体の機能が低下している。また陥没・偏平乳頭の人は乳量が多い傾向にあり,乳房緊満,乳腺炎を併発しているケースも多い。直接授乳が可能になっても,ゆがめつぶし飲みで乳頭亀裂や乳腺炎などのトラブルを繰り返すため,時間をかけ根気よく援助しなければならない。私たちの労力のいるところである。母親にとっては児が吸いついてくれないあせりや搾乳による疲労で,精神的にも身体的にも母体の健康を害し,母子関係にも大きく影響をもたらす大変深刻なトラブルである。
しかし援助の甲斐あって直接授乳が可能になると,幸いなことに催乳徴候が回復しやすいため,母親はすべての問題から解放されたかのように全身が安楽に爽快になり,大きな喜びを私たちまで共有できる。ぜひ,諦めることなく援助したいものである。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.