Japanese
English
綜説
頸動脈閉塞症に対する外科的治療—いわゆる脳卒中の手術治験例
Surgical Treatment on the Carotid Artery Occlusion, A Case of Apoplexy Successfully Surgically Treated
木本 誠二
1
,
和田 達雄
1
,
上野 明
1
,
菱田 泰治
1
,
村上 国男
1
,
佐藤 富蔵
1
Seiji KIMOTO
1
,
Tatsuo WADA
1
,
Akira UENO
1
,
Yasuharu HISHIDA
1
,
Kunio MURAKAMI
1
,
Tomizo SATO
1
1東京大学医学部木本外科教室
1Department of Surgery, Tokyo University School of Medicine
pp.1109-1114
発行日 1962年11月20日
Published Date 1962/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202989
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序言
いわゆる脳卒中の症状を呈する症例の中に頸動脈閉塞に基づく,脳血行障害に起因するものが在存することは,比較的古くから知られているが,近時脳血管撮影の技術が一般化するとともにこのような症例が臨床的に診断されるようになつたばかりでなく,血管外科の進歩によつて頭蓋外の頸動脈に対する血流再建手術が可能となつたために,この疾患はにわかに注目を集めるところとなつている.
すでに欧米では頭蓋外の主要血管に比較的限局して存在する動脈硬化性閉塞に由来する脳血行障害が極めて高率に存することが剖検1,2)によつても,動脈撮影3,4)によつても確認されており,急性脳血管障害の約20%が頸動脈の閉塞性疾患によるものといわれている5).しかもそのような症例の中の多くのものが血管外科的手術によつて救われている6)のであるから,中枢性の神経症状を呈する症例とくに卒中患者を診療するにあたつては,常に本疾患を念頭におく必要がある.
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