Japanese
English
綜説
大動脈縮窄症の外科的治療,とくに異型の大動脈縮窄症について
The Surgical Treatment of Coarctation of the Aorta, with Special Reference to Atypical Forms
木本 誠二
1
,
和田 達雄
1
,
中島 穰
1
,
上野 明
1
,
佐藤 雅昭
1
,
宮本 清
1
,
橫田 徳雄
1
,
野原 不二夫
1
,
菱田 泰治
1
Seiji KIMOTO
1
,
Tatsuo WADA
1
,
Minoru NAKAJIMA
1
,
Akira UENO
1
,
Masaaki SATO
1
,
Kiyoshi MIYAMOTO
1
,
Norio YOKOTA
1
,
Fujio NOHARA
1
,
Taiji HISHIDA
1
1東京大学医学部木本外科教室
1Kimoto's Surgical Clinic, Tokyo University School of Medicine
pp.5-14
発行日 1960年1月20日
Published Date 1960/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202525
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序言
大動脈縮窄症(Coarctation of aorta)は,もともと大動脈弓と下行大動脈との境界部,いわゆる峡部(Isthmus)にみられる大動脈の狭窄に対して名づけられたものであるが,この狭窄は峡部にかぎらず,異常部位にみられることがしばしばある.いずれにしてもこの狭窄が原因となつて,狭窄より求心側の動脈内圧は亢進し,高血圧に基く種々の症状を呈するほか,心不全,脳合併症,亜急性心内膜炎,大動脈瘤などの合併症を来すことが多い.
治療としては,この狭窄部を外科的に切除し,正常の太さの動脈に再建するわけであるが,臨床的な最初の根治手術成功例は1944年Crafoord1)氏により,ついで1945年Gross2)氏により行われ発表されている.これらの手術方法は,何れも狭窄上下を鉗子で遮断し,狭窄部を切除し断端を引寄せて縫合する方法であつて,狭窄部が長く動脈に伸展性のない場合には不可能な方法である.このような症例に対して,1948年にGross3)氏が最初に行つた同種大動脈移植の成功は,今日の血管移植の隆盛を招く端緒となつたもので,本症の手術によつて現在の血管外科の繁栄がもたらされたといつても過言ではなかろう.
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