外国文献
産褥期乳腺膿瘍,他
S
pp.255
発行日 1961年3月20日
Published Date 1961/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202733
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産婦に乳腺膿瘍が流行的に多発したという報告があり,staphylo-coccus aukusことにphage type 80というのが原因としてあげられた.授乳をはじめた産婦の乳腺膿瘍が近来ますます増加しているようである.Soltauらの報告はロンドン,サウザンプトン地域の1957年の乳腺膿瘍流行を取扱つている.例数37例.うち26例は初産婦,平均年令26歳.大多数は正常分娩.何れも授乳し,入院中から退院直後に乳腺膿瘍発生.入院中ペニシリン注射13例,クロランフェニコール8例,テトラサイクリン5例というように1種の抗生物質が大多数に与えられた.膿瘍は皮下のものもあつたが.多くは切開排膿を必要とし,催炎菌はさきのようにphage type 80のブドウ球菌である.この菌は60年以前に多くみとめられた.深部に膿瘍をつくるもので,ふつうペニシリン耐性,テトラサイクリン耐性である.クロランフェニコールやエリスロマイシンには感受性がある.入院時腟培養では全例この菌陰性,鼻汁に保菌したもの1例のみである.新生児で哺育室に入らなかつた29例のうち21例の母親に本症があらわれた.哺育室が感染源とは考えられない.新生児は出産4〜5日ごろ鼻咽喉に本菌を保存するようになる,膿皮症のような皮膚感染は14児にみとめられ,うち12児がphage type 80であつた.3児は同菌の敗血症に陥つた.
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