Japanese
English
綜説
脳・神経疾患に対するニコチン酸の効果に就いて
Nicotinic acid for Intracraniol Diseaes
三河內 薰丸
1
,
深瀨 邦雄
1
S. Mikouchi
1
,
K Fukase
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
1Department of surgery. Keio University Medical school
pp.1029-1032
発行日 1957年12月20日
Published Date 1957/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202097
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
ニコチン酸(Nicotinic acid)は1913年Funk及び鈴木等によりヴィタミンB1と共に初めて米糖から分離され,後にPellagraの特効薬として用いられたが,顔面紅潮等の副作用がある為に,acidをamidに換え,これ等の副作用のないNicotic amidが用いられる様になつた.この為に,ニコチン酸そのものは次第に忘れられた.然るに近時,ニコチン酸の副作用である脳血管拡張作用を利用し,種々の脳疾患に於いてその血行を改善,増強する目的で使用されるにおよび,再び注目を引く様になつた.
諸外国に於いては血管系に原因する頭痛,卒中後遺症,脳外傷後遺症等に対しニコチン酸を投与する事は,丈献上にも明らかな如く,広く行われているが,我国に於いては未だ諸家の注目を引くに至つていない.私共も多数のニコチン酸投与の適応患者をみながら,その入手難の為に投与する事が出来ず,何故に日本に於てニコチン酸が市販されていないのが不思議に思い且つ不便を感じ,必要にせまられて試薬として販売されているものを使用した事もあつた.偶々山之内製薬及び東亜栄養化学の協力の下に,種々の疾患に対しニコチン酸錠(ナイクリン錠)を試作使用する事が出来たので以下私共の使用症例及び使用法に就いて述べて見たいと思う.
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.