Japanese
English
綜説
人工心肺の研究
Studies on Artificial Heart Lung
織畑 秀夫
1
,
長谷 健一
1
,
皆川 健次
1
,
菅間 直
1
,
高橋 敬亮
1
,
富田 勝己
2
Hideo ORIHATA
1
1東京女子医大外科
2京都府立医大峰外科
1Department of surgery. Tokyo Woman's Medical College
2Kyoto Profecture Medical College
pp.727-739
発行日 1956年11月20日
Published Date 1956/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201870
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緒言
心臓内直視下手術には種々の方法があるが,先ず臨床応用に成功したのは低体温法であつた.米国に於いてBigelow等の実験を基礎に先ず臨床に成功し,多数の報告が出た.之に刺激され,吾国でも研究が始められ,昭和29年10月榊原仟教授が初めて低体温下心臓内直視手術の臨床に成功を得た.その後現在までに全国では数10例の臨床例があると思われる.
東京女子医大外科に於ける31例の臨床についてみると15歳以下の非チアノーゼの先天性心疾患では甚だ安全であるといえる.即ちファロー氏四徴症のチアノーゼの強い1例を除き,他の10例全部が生存している.然しそれ以上の年齢で,殊に心筋障碍の強いものゝ多い例では20例中6例の死亡をみた.この他に低体温下に心臓鏡を用いて手術された3例は何れも生存している.心臓鏡による手術も一種の直視手術として価値があるが,本論文では詳細は抄略する.即ち,年齢の若い,チアノーゼのない,心筋障碍の少ない場合は相当の安全性が認められるが,年齢が多く,チアノーゼ及び心筋障碍のある場合は危険が大となる.従つて年齢も多い又心筋障碍も強い傾向の濃厚な後天性心疾患に対しては低体温法による直視手術は相当な危険が予想される.
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