Japanese
English
術技
任意心搏動停止を併用する開心術
Open Heart Surgery with Elective Cardiac Arrest
榊原 仟
1
,
織畑 秀夫
1
,
長谷 健一
1
,
菅間 直
1
,
待山 昭二
1
,
岩淵 汲
1
,
高橋 敬亮
1
,
石原 昭
1
,
淸水 寿子
1
,
別府 俊男
1
,
山口 繁
1
,
黑田 晃司
1
SHIGERU SAKAKIBARA
1
1東京女子医科大学外科
pp.1039-1045
発行日 1958年11月20日
Published Date 1958/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202267
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I.緒 言
心臓内直視下手術は,低体温法によつて臨床に成功して以来著しい進歩をとげたが,その後広く人工心肺が使用せられるに至つて直視手術の適応範囲は拡大し,安全性を増大した.しかし人工心肺による体外循環中冠循環系からの出血や,大動脈弁よりの逆流血液により,視野が妨げられ手術操作に障碍を来たし,又,心搏動の存在は精密且つ正確な操作を一層妨げるものである.これらの欠点を補う方法の一つとして,一時可逆的に心搏動を停止せしめる任意心搏動停止法が挙げられる.その方法はクエン酸カリを冠動脈内に注入するMelrose氏1)の方法,アセチールマリンを使用するMoulder2),Lam氏3)等の方法,クエン酸カリと硫酸マグネシウムを混合使用するYoung氏4)の方法等が発表され,Kolff氏等5)は臨床に応用して好結果を得ている.本邦においても,亀谷氏等6)7)によつて実験が行われ,木本氏等8)によつて臨床例が報告されている.我々も亦数年前より電気刺戟及びその他による心搏動停止法の研究を行つて来たが,今回既に発表されたクエン酸カリ及びアセチールコリンによる心搏動停止の実験を行い,各々の方法に夫々長所,及び短所のある事を知り,両者を混合使用する事によつて,各々の短所を補い好結果を收め得る事を認めた.
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