Japanese
English
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大腸運動失調症"Dystonia colica"(八田)に就いて
On the Dystonia Colica, Hatta
八田 秋
1
Osamu HATTA
1
1九州大學温泉治療學研究所
1Institute of Balneothera-Peutics of Kyushu Univ.
pp.251-255
発行日 1951年6月20日
Published Date 1951/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200826
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緒言
所謂急性腹症の症状を呈するもので,開腹によつても何等その原因となるべき器質的変化を発見し得ない症例がある.又急性虫垂炎症状でその切除を行い,虫垂とその周囲臟器に著変を認めず,術後にも同樣な症状を繰返えすものを見る.かくの如き症例の中には,若干の不審を残しながらも,蛔虫を有するが故に蛔虫症と考えられ,或はDyspragia intermittens angiosclerotica(Ortner),Spastischer Ileus(Fleiner)等として片付けられているものがあるであろう.
私はかくの如き症例に疑問を持ち,その本態について考究中,たまたまCannon氏点の存在に想到し,その臨床的意義を追求して,此の点を中心とする横行結腸の運動変調(Dyskinesia)が一連の結腸機能障碍を惹起するものであろうとの考えに到達したので,かくの如き大腸の部位的変調によつて,常習性便秘或は常習性下痢,時に疝痛発作を来す疾患を,大腸運動失調症"Dystoniacolica"(八田)と命名すべき事を,昭和24年,第49回日本外科学会に於て提唱した.
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