Japanese
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今月の小外科・8
急性化膿性骨髄炎の治療
Treatment of Acute Suppurative Osteomyelitis.
左奈田 幸夫
1,2
Yukio SANADA
1,2
1國立世田谷病院外科
2國立世田谷病院整形外科
1Surgery, National Setagaya Hospital.
2Orthopedics, National Setagaya Hospital.
pp.515-518
発行日 1950年10月20日
Published Date 1950/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200712
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急性化膿性骨髄炎は外科,整形外科專門医のみならず一般開業医も屡々遭遇する疾患で,敗血症を伴う乳幼兒は時に死の轉帰をとり,幸に生命を救い得ても,大部分は慢性化し,長期間の保存的療法の後,腐骨摘出術を行い年余に亘つて治療せざるを得なかつた. 又手術の時期を誤ると病巣の再燃のみならず,各所に轉移して患者の苦悩のみならず,医師としても手を燒いたものである,然るに化学療法剤の発達,殊にペニシリン(以下Pcと略記)の世に出るに及んで,吾々医師をも苦しめた本疾患も適切なるPc療法を行うことによつて,大部分を治癒せしめ得る樣になつたことは,肢体不自由者を貽さなくなつた点のみからも,國民と共に同慶に耐えない.
Pc療法によつて本疾患も大部分は軽快するが,その予後判定,予後管理を誤ると失敗することがあるので,本稿はPc療法のみならず,かゝる点をも記載してみたいと思う. 近年Pc抵抗性の化膿菌が漸次増加しつゝある傾向にあり,從つて使用量も次第に増しつゝあるが,以下述べるPc使用量は少く共標準最低量と思われる. 然るに往々社会保險制度の査定に際し所謂濃厚治療として或削除を加えられ,從つて止むを得ず使用量の減少から二次性慢性骨髄炎の増加をみ,引いては入院日数の長期に亘り,手術点数の増加,且つ肢体不自由者を世に貽すならば,小は社会保險制度の損失から,大は國民の世活力の減退となり,角をためて牛を殺すの結果となるを憂うものである.
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