症例報告
Scheele氏小腸管膀胱整形術Dünndarmringplastikの經驗に就て
楠 隆光
1
1東京帝國大學附屬醫院分院泌尿器科
pp.48-51
発行日 1947年4月25日
Published Date 1947/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200208
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
炎症性萎縮膀胱,或は先天性小膀胱で膀胱容量の小なるために甚しい尿意頻數に苦む際に施行する手術として二つの外科的療法が考へられる。其の一つは輸尿管を腸管に移植して腸管の一部をして膀胱の代用たらしめるものである。他の一つは小膀胱に曠置腸管を吻合してその容量を増加せしめんとするものである。以上の二方法の中,後者の方が前者よりも生理的で都合がよいものであるが,これを施行するには,(1)如何に小膀胱とは言ひながらその容量が約50ccはあり,腸管膀胱吻合術を實施する餘地がある,(2)膀胱括約筋が完全で完全に尿を保つ膀胱であると言ふ二つの條件を具備した小膀胱でなければならぬ。即ち萎縮膀胱でも最高度で殆んど容量が零で尿失禁に惱むと言ふものでは駄目で,未だかゝる最終段階に達して居ないものでなければならぬ。
腸管膀胱吻合術に使用する腸管としては,1920年頃一時大腸がBirnbaum(1920),Mayer(1921)等により利用されたが,今日に於ては專ら小腸が利用される。それは小腸の方が大腸よりも腸管膜が長く移動に便利である事及び細菌が比較的少ないと言ふ二點によるのである。
Copyright © 1947, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.