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巨大なる蝦蟇腫の2症例
福武 博重
1
1岡山大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.41-44
発行日 1953年1月20日
Published Date 1953/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200838
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蝦蟇腫(Ranula)とは舌下部に存在する嚢腫に対して与えられた総括的な名称である。本嚢腫の治療に際しては普通手術的に全別出する方法が行われて居るが,嚢腫が小さくて舌下部に限局して居る場合に於ても,術中嚢壁の破壊の為内容液は流出し.完全に嚢壁を除去する事が不可能な場合がある。まして嚢腫が舌下部より顎下部,或は頣下部に迄も及ぶ程巨大に成れば,其の全剔出には想像以上の非常な困難を伴うものである。
私は最近舌下部より顎下部に亘り発育せる巨大なる蝦蟇腫に全剔出術を行つた所,嚢腫が亘大な上に周囲組織との癒着が高度の為,手術中一時非常な苦境に立到つたのであるが,細心の注意と忍耐強い剥離とにより,嚢腫の全剔出に成功した2例を経験したので報告する。
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