増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル
Ⅱ 併存症を持つ患者の評価とその術前・術後管理
3.肝疾患
ウイルス性肝炎
荒川 悠佑
1
,
島田 光生
1
,
石川 大地
1
,
斉藤 裕
1
,
岩橋 衆一
1
,
池本 哲也
1
,
居村 暁
1
,
森根 裕二
1
,
宇都宮 徹
1
Yusuke ARAKAWA
1
1徳島大学消化器・移植外科
pp.64-67
発行日 2014年10月22日
Published Date 2014/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200085
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最近の知見と重要ポイント
□B型慢性肝炎に対する抗ウイルス治療では,インターフェロン,エンテカビルによる治療方法に大きな変化はないが,HBe抗原の有無のみならず,ALT値および肝線維化の有無により,その適応が細かく分類されたことに留意が必要である.
□C型慢性肝炎に対する治療では,治療抵抗性であったgenotype 1,高ウイルス量に対してテラプレビルを使用した3剤併用療法が適応となった.さらに,2014年5月より副作用が少なく,より高いSVR率をもつシメプレビルが使用可能となった.
□術前栄養管理に関して,慢性肝炎症例では耐糖能異常を合併することが多く,安静時エネルギー消費量が亢進し,蛋白・エネルギー栄養障害を呈しやすいことが報告されている.このため術前・術後の絶食は飢餓状態を引き起こすことから,できだけ避けることが望ましい.さらにlate evening snack(LES)などを導入し,分枝鎖アミノ酸製剤を眠前に投与することで,飢餓状態を予防し栄養状態を改善する.
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