特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅳ.肝・胆・膵
胆管癌
上坂 克彦
1
,
金本 秀行
1
,
杉浦 禎一
1
,
岡村 行泰
1
,
伊藤 貴明
1
,
栗原 唯生
1
,
蘆田 良
1
,
絹笠 祐介
2
,
坂東 悦郎
2
,
寺島 雅典
2
Katsuhiko UESAKA
1
1静岡県立静岡がんセンター肝・胆・膵外科
2静岡県立静岡がんセンター消化器外科
pp.198-203
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104807
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
臨床の現場では,2000年初頭からmultidetector-row CT(MDCT)が使われるようになり,それまでの胆管癌の診断様式や進展度診断から手術に至る過程が一変した.
Helical CTの時代においては,胆管癌の水平方向進展度診断は,主として直接胆道造影〔多くは経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)カテーテル経由,または内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)〕と胆道内視鏡によって行われた.主要脈管に対する垂直方向進展度診断は,おもに肝動脈造影と門脈造影所見に基づいて行われた.さらに,局所解剖,特に肝門部の複雑な立体解剖については,上記によって得られた胆管像,肝動脈造影像,門脈造影像を頭の中で複合させることによって理解していた.すなわち,helical CT時代の胆管癌進展度診断は,「総合画像診断」によっていた.
しかし,MDCTが導入されてからは,減黄処置前に適切なMDCTを撮れば,それだけでほぼ正確な進展度診断と立体解剖の把握が可能で,またそれに基づいて術式選択まで行うことができる時代となった.本稿では,MDCTによる胆管癌の術前画像診断のポイントと,手術施行時に把握しておくべき重要な三次元立体解剖の認識について概説する.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.