Japanese
English
臨床報告
進行癌との鑑別が困難だった肝硬変合併粘膜内胃癌の1例
Intramucosal gastric cancer complicated with hepatic cirrhosis that was difficult to differentiate from advanced gastric cancer: a case report
小南 裕明
1
,
川崎 健太郎
1
,
中山 俊二
1
,
金治 新悟
1
,
藤野 泰宏
1
,
富永 正寛
1
Hiroaki KOMINAMI
1
1兵庫県立がんセンター消化器外科
キーワード:
早期胃癌
,
肝硬変
,
腺腫内癌
Keyword:
早期胃癌
,
肝硬変
,
腺腫内癌
pp.720-724
発行日 2013年6月20日
Published Date 2013/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104616
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要旨
症例は66歳,男性.アルコール性肝硬変の精査目的で撮影した腹部CTで胃壁の肥厚が認められ,上部消化管透視および内視鏡検査で幽門輪浸潤を伴う5 cm大の亜全周性1型病変の存在が確認された.腹部CTで左胃動脈領域リンパ節の増大と肝のLDAが指摘され,転移を強く疑われた.肝機能の改善と腹水のコントロールを図った後に胃癌に対して開腹で幽門側胃切除術を施行した.術前診断はcT2N2M0 StageⅡBだったが,最終病理組織学的診断はtypeⅠ+Ⅱa,tub1,pT1aN0M0 INFα,ly0,v0,StageⅠAだった.広範囲に及ぶ腺腫内に癌が存在し,肝硬変による胃壁固有筋層内の血管およびリンパ管拡張と,癌による非腫瘍性腺管構造の分泌障害のために腫瘍全体が挙上されていたことと,肝硬変を原因とする胃壁の線維化とリンパ節腫大に限局性脂肪肝が重なり進行度が過大に評価されたと考えられた.
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