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あとがき
渡邉 聡明
pp.964
発行日 2012年7月20日
Published Date 2012/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104167
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近年の分子標的薬の進歩は様々な疾患の治療に対して大きな影響を与えました.大腸疾患に関しても,悪性疾患,良性疾患ともに分子標的薬を導入した新たな診療体系の構築が必要となっています.良性疾患である炎症性腸疾患では,インフリキシマブの登場によってCrohn病の自然史まで変わる可能性が期待されています.これに伴って,外科治療のタイミングも以前とは異なった視点で判断する必要性も出てきています.また,潰瘍性大腸炎でもインフリキシマブの使用が可能になり,外科治療を回避する新たなオプションとしての可能性が期待されています.
大腸癌の治療においては,以前は海外とのdrug lagが大きな問題となっていました.化学療法の効果が期待できなくなった時点で,効果が期待できる薬剤が海外では使用されているのに,わが国では使用することができない,というジレンマがありました.Drug lagが解消された現在,海外で使用できる薬剤がわが国でも使用できるようになり,切除不能再発大腸癌のfirst line治療においても多くの選択肢が可能となっています.
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