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「なでしこジャパン」の第6回FIFA女子ワールドカップでの優勝に日本中が湧きました.日本代表として初のFIFA主催の世界大会優勝という快挙を成し遂げ,チームはフェアプレー賞,澤穂希選手はMVPを受賞しました.連日の報道に日本中が釘付けになり,明るい話題が少なかった日本に,久しぶりに感動と勇気を与えてくれた気がします.また,この優勝によって,日本政府から「なでしこジャパン」に国民栄誉賞が授与されました.団体に対する国民栄誉賞は初となる快挙でした.FIFA女子ワールドカップでのこれまでの日本の成績は,ベスト8進出が1回ありましたが,そのほかの4回はすべてグループリーグ敗退でした.それが,今回は佐々木監督のもと,決勝トーナメントに進出するや,一気に優勝まで勝ち取り,日本国民に勇気と希望,そして感動を与えてくれました.
一方,医療の世界,特に外科における女性はどんな状況にあるのでしょうか.日本外科学会で女性外科医の現状についての実態調査が行われています.アンケート調査の結果によると,1週間の勤務時間が90時間以上である医師の割合が男性外科医は12.9%,女性外科医は18.3%と,女性のほうが頻度が高くなっています.1週間の勤務時間が75時間以上で見てみると,これも男性外科医は33.4%,女性外科医は40.7%と,女性のほうが頻度が高くなっています.また,これを子供のあり/なし別でみると,1週間の勤務時間が90時間以上である医師の割合は子供なしの女性外科医で25%,子供ありは3%となります.つまり,未婚の女性外科医の4人に1人は90時間以上勤務しているということになります.日曜日に1日休めたとしても,残りの6日間は1日15時間勤務していることになります.また,「キャリア形成に障害となっているのは何か」との問いには, 「出産,育児」の37%に次いで「労働条件の悪さ」が36%で,2位となっています.こうした状況のなか,女子学生に外科を進路として勧めるかとの質問には,女性外科医の29%が絶対に勧めないか,どちらかといえば勧めないと回答しています.
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