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あとがき
渡邉 聡明
pp.390
発行日 2014年3月20日
Published Date 2014/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407105003
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今回の特集は「究極の肛門温存術式ISR」という企画です.ISRの登場により,従来は人工肛門になるような症例の一部は,肛門温存が可能となりました.そしてわが国でISRが導入されてから約10年が経過し,今回は長期成績を含めてISRを再考しようというのが,企画の趣旨です.十年一昔といいますが,ISRがわが国で広まり,そしてその評価をするのに10年かかったということになります.
それでは,そもそも人工肛門を造設するようになったのはいつなのでしょうか? それは,腹会陰式直腸切断術(Miles手術)が登場した時期であり,約100年前の1908年のことです.つまり約100年前に,直腸癌の治療で「肛門」を切除してしまうという,劇的な変化がもたらされた訳です.それから100年以上たった現在でもMiles手術は標準手術として行われています.そして今回のISRはまさに,100年経ってからMiles手術に挑戦すべく,人工肛門を回避する手術として登場したわけです.「できるだけ多くとる」から「できるだけ少なくとる」に変わるのに100年を要したわけです.
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