ひとやすみ・72
主治医付き外泊
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.602
発行日 2011年5月20日
Published Date 2011/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103545
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- 文献概要
家族の主治医は,一般に務めるものではないとされている.特に癌などの手術では結果が必ずしも上手くいくわけではなく,不幸な結果に至った場合には家族関係が悪化し,さらに自分自身が後悔することにもなる.一方,主治医を務めているからこそ,家族に対して特別に行えることもある.
私の父親は90歳時に大腸癌となり,息子と二人で腹腔鏡下に結腸右半切除術を施行した.1年後に癌が再発し,再び私が主治医を務めた.診療の合間に頻回に父親を見回ることができ,主治医冥利に尽きた.しかし,私の実家は遠隔地にあり,高齢の母親が父親を見舞うことは困難であった.それよりも母親自身が高齢で,一人では生活できずに姉の介護が必要であった.そこで,隔週の土曜日に実家まで母親と姉を迎えに行った.そして病室から父親を連れ出し,病院近くの温泉に家族で宿泊した.
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