連載 考える
日常看護のブラッシュアップ 患者中心の看護をめざして・9
「看護婦さん,家に帰りたいヨー」—人工呼吸器で外泊に挑戦
宮本 美恵子
1
,
菅原 みち子
1
,
根本 せつ子
1
,
礒部 満子
2
1千葉県立佐原病院新館4階病棟
2千葉県立佐原病院
pp.1140-1145
発行日 2000年12月1日
Published Date 2000/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903631
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はじめに
医療制度の改革や介護保険制度の導入に伴い,在院日数の短縮や,医療依存度の高い患者の在宅療養に向けた体制整備がすすめられている.そのようななか,私たちが受け持った患者O氏は,高位頸髄障害による呼吸筋力低下のため,人工呼吸器からの離脱は困難とされていた(表1).病状が安定しても,療育手帳が交付されていないO氏は施設入所が難しく,数か所の施設や病院にあたったが,どこも人工呼吸器を装着したままでの受け入れは無理との返答で,転院先もみつかっていない.介護保険も定められた疾病外で対象とはならず,在宅療養も介護者が高齢で病弱なため困難な状況であった.
しかし,O氏の「一度でいいから,家に帰りたい」という希望をかなえるべく外泊を試みて,私たちに何ができるか,その支援体制について考えさせられた.
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