Japanese
English
特集 消化器外科における経腸栄養の意義と役割
侵襲による腸管機能への影響―腸管免疫の点から
Surgical insult impairs gut immunity
深柄 和彦
1
,
安原 洋
1
Kazuhiko FUKATSU
1
1東京大学医学部附属病院手術部
キーワード:
経腸栄養
,
腸管虚血再灌流
,
腸管リンパ装置
,
IgA
,
グルタミン
Keyword:
経腸栄養
,
腸管虚血再灌流
,
腸管リンパ装置
,
IgA
,
グルタミン
pp.1339-1344
発行日 2009年10月20日
Published Date 2009/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102714
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨:侵襲時には,腸管への栄養投与が困難になったり,腸管血流の著しい低下,抗生物質の長期投与による腸内細菌叢の変化,重症感染症に伴うエンドトキシン曝露などが生じる.これらは,いずれも腸管リンパ装置の機能低下・萎縮を引き起こし,その結果,腸管免疫・全身の粘膜免疫が低下する.また,消化器外科領域で頻用される抗癌剤治療も腸管免疫を低下させる.腸管の免疫学的バリアの破綻は,全身性の炎症反応を増悪させ重症感染症の原因となり得る.侵襲時の腸管免疫維持には,その病態に応じて,早期経腸栄養・グルタミン投与・ニューロペプチド投与・interleukin-7投与やω-3脂肪酸投与が有用であることが動物実験で報告されている.しかし臨床的なエビデンスに乏しく,今後のさらなる研究が必要である.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.