カラーグラフ エキスパート愛用の手術器具,手術材料・8
胃癌手術に愛用の手術器具・材料―開腹手術と腹腔鏡下手術とのfusion
上之園 芳一
1
,
愛甲 孝
1
,
有上 貴明
1
,
石神 純也
1
,
夏越 祥次
1
Yoshikazu UENOSONO
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学・消化器外科学
pp.1025-1029
発行日 2009年8月20日
Published Date 2009/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102647
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はじめに
胃癌の手術は,進行癌を対象として行われてきた拡大手術から現在の早期癌を主な対象とした腹腔鏡下手術に至るまで,リンパ節郭清を基礎とした根治手術である点は基本的に変わっていない.しかし,腹腔鏡下手術の普及に伴い,従来から用いられてきた開腹用の手術器械に加えて様々なデバイスが登場してきた.筆者らが外科医になり立ての頃「人間は膜でできている」と教えられ,クーパーで層を出し,電気メスで剝離を進めていく操作を先輩に教えられた.その基本的な考え方は今も何ら変わるものではないが,便利で安全性の高いデバイスを拒否する必要もない.
筆者らは胃癌手術にあたっては腹腔鏡下手術だけでなく開腹手術においてもベッセルシーリングシステムとしてLigaSureTM(COVIDIEN)を用いており,手術時間の短縮にもつながっている.血管の太さによってすべての血管を処理することは難しいが,通常の胃癌手術においては主要血管以外のほとんどに対処することが可能と考えている.また,再建に用いられる自動縫合器や自動吻合器も改良が進んでおり,腹腔鏡下手術の増加も相俟って従来の手縫いによる方法から器械を用いる吻合や縫合が多くなってきている.
本稿では,胃癌手術におけるLigaSureTMの有用性および開腹・腹腔鏡下手術に使用するポイント,また自動縫合器,吻合器の選択について筆者らの経験を踏まえて紹介する.
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