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1.動物電流を発見したLuigi Galvani
1786年,イタリアボローニャ大学解剖学教授のGalvani(1737~1798年:図1)は,あるとき解剖したカエルの脚(カエルの下肢に脊柱の断端からむき出しになった座骨神経がつながった標本:図2)を用いて実験を行っていた(その後,この神経がつながったままのカエルの筋肉は微弱な生体電流を検出する検流器として使用されるようになった).まず,「偶然に」助手の1人の持ったメスがカエルの神経に触るとカエルの筋肉が収縮し,またもう1人の助手が摩擦起電機から電気火花を飛ばすと,これもまた「偶然に」カエルの筋肉が収縮した.当初,Galvaniはこの現象を合理的に説明できずにいたが,雷光によってもこのような反応が起こるのではないかと考えて,雷がありそうな日に実験を行おうと考えていた.そして,カエルの脚を真鍮製の鉤で鉄柵に吊るしていたところ,雷光がなくてもその下部が鉄柵の部分にふれただけでカエルの脚が収縮することを,また「偶然に」見出したのである.Galvaniは偶然に観察したこれらの事象から,「異なる種類の金属に接した場合にカエルの脚(筋肉)が収縮する」ということに思い至り,1791年に「筋肉運動における電気の作用に関する覚え書き」(De Viribus Electricitates in Motu Musculari Commentarius)を発表した.
Galvaniは「動物の体内には電気が宿っている」と考え,さらに「この内部電気〔以後しばらくの間はガルヴァーニ電流(galvanic current)と呼ばれた〕によって筋肉の収縮が起きる」とした.これがGalvaniの唱えた動物電気(animal electricity)説である.その後,研究は同世代のイタリア人科学者アレッサンドロ・ヴォルタ(Alessandro Volta:1745~1827年:図3)に引き継がれるところとなり,1792年にVoltaにより生体電気説に換わって金属電気説が提唱されるに至った.つまり,Galvaniの発見したカエルの筋肉収縮は生体電気によるものではなく,「異なる金属が接触したときに生じる直流電気によるものである」ことが示された.異種金属の接触によって電気が流れることを確信したVoltaはその後も色々と改良を加えながら実験を重ねていき,1880年にいわゆる「ヴォルタの電堆」を作成することになるが,これが現在我々が使っている電池(battery)の原型となった.
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