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NPO医局 ザ・ファーストの設立と運営,その目指すところ
NPO medical office“The First”:It's mission,vision and credos
松岡 順治
1
,
猶本 良夫
1
,
田中 紀章
1
Junji MATSUOKA
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器・腫瘍外科学(NPO医局 ザ・ファースト)
キーワード:
医局
,
外科
,
研修
,
専門医
Keyword:
医局
,
外科
,
研修
,
専門医
pp.679-687
発行日 2008年5月20日
Published Date 2008/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102133
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はじめに
2004年から卒後臨床研修が必修化された.これにより,大部分の卒業生が医局に入り,その後関連病院に派遣されるという従来の研修の図式が大きく変化することになった.研修医と病院のマッチングで研修先が決まることになり,大都市の大病院に人気が集中し,多くの地方病院は研修医が集まらない.研修医の集まる病院と集まらない病院の差がきわめて大きくなってきた.卒後臨床研修が終了した際も,労働条件の劣る大学病院に帰還する研修医,すなわち入局する医師は従来に比して減少したことが報道されている.このため,大学病院は労働力不足となり,今まで関連病院に派遣していた医師を大学病院の医局に戻すことで対応し,このため地方の中小病院はさらなる医師不足となっている.
一方,研修医は情報を集めて後期研修の病院を選ぶことになるが,その際に病院選択に関する情報が少ないことが指摘されている.病院により情報発信力に差があり,これがさらなる病院格差を生む原因となっている.医局という組織が否定されたことにより,研修医はすべて自分で決定することを求められるようになったわけである.しかしながら,医局制度の弊害を正そうとして切り捨てられた医局にあるべき調整機能,すなわち「研修医の希望,研修実績を客観的・総合的に評価し,理想的な研修を支援する」という機能,および地域医療に対する調整機能は何らかの組織によって担われなければならないと考えられる.
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