カラーグラフ 外科手術における新しいテクニック―new art in surgery・11
大伏在静脈を用いた肝動脈再建術
錦見 尚道
1
,
伊神 剛
2
,
梛野 正人
2
,
二村 雄次
3
Naomichi NISHIKIMI
1
1名古屋第一赤十字病院血管外科
2名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍外科
3愛知県がんセンター
pp.305-310
発行日 2008年3月20日
Published Date 2008/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102054
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グラフトの選択
肝動脈合併切除を行う際,肝動脈の直接吻合を行える場合はよいが,代用血管の間置が必要になる場合がある.代用血管として人工血管,自家動脈,自家静脈の選択肢があるが,肝動脈再建を必要とする手術では準無菌術野である場合が多いため,感染源となり得る人工血管の使用を避けたい.また,市販されている細口径人工血管で肝動脈再建に適当なサイズのものがないことから,自家動脈か自家静脈が選択される.
冠動脈血行再建術では自家動脈は自家静脈と比較して長期開存率が良好であることが知られ,内胸動脈,胃大網動脈をin situで,また橈骨動脈がフリーグラフトとして広く使用されている.しかし,冠動脈血行は血管床への還流が拡張期に生じる血管抵抗がある心筋組織へのバイパスであり,肝動脈血行は収縮期に還流する生理的に血管抵抗が低い肝臓へのバイパスで,両者の開存成績を同等に論じることは不適切と思われる.
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