産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン
広汎性外陰摘出術における大伏在静脈の温存法
半藤 保
1
1香川医科大学
pp.1029
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901859
- 有料閲覧
- 文献概要
従来日本婦人の外陰癌は多くなかったが,近年長寿社会の到来と共にこれが増加しているように見受けられる.したがって外陰癌に対する広汎性外陰摘出術も,かつてほど珍らしいものでなくなり,大きな病院では年に2例前後この手術が行われている.
広汎性外陰摘出術の術式について内外の手術書をみると,ここでとりあげる大伏在静脈は浅鼠径リンパ節を外陰皮膚とともに剥離,摘出する時に,結紮・切断処理することになっている.確かにこの静脈を切断した方が,手技上便利かも知れない.しかしその便利さは相対的なもので,大伏在静脈の剥離,露出に少し手間をかけるだけでこれを温存でき,しかも周囲の浅鼠径リンパ節やリンパ管の摘出も,非温存例に比べなんら遜色なく行える.大伏在静脈を温存したために,深鼠径リンパ節の郭清が困難になることもない.広汎性外陰摘出術において,鼠径部の皮膚切開,ついで浅鼠径リンパ節のhorizontal groupを鼠径靱帯の上方で,外側方から内側方へ向け外腹斜筋腱膜および腹直筋鞘が露出するように,脂肪組織とともに剥離を進めるとき.浅腹壁動静脈Vasa epigastrica super—ficialis,浅腸骨回旋動静脈 Vasa circumflexailium superficialisは切断,処理される.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.