特集 クリニカルパスによる外科医療の進歩
第Ⅰ部:クリニカルパス導入の実践
クリニカルパス作成の実例
5.肝・胆・膵
肝移植のクリニカルパス
陳 孟鳳
1
,
嶋村 剛
2
,
服部 優宏
3
,
鈴木 友己
3
,
谷口 雅彦
3
,
中川 隆公
3
,
神山 俊哉
3
,
松下 通明
4
,
古川 博之
1
,
藤堂 省
3
Jin Maeng Bong
1
1北海道大学大学院医学研究科置換外科・再生医学講座
2北海道大学大学院医学研究科臓器移植医療部
3北海道大学大学院医学研究科消化器外科・一般外科講座
4北海道大学医療技術短期大学
pp.144-151
発行日 2003年10月22日
Published Date 2003/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101571
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はじめに
一般にクリニカルパスは実行するにあたってアウトカムをバリアンスから評価し適切な運用がなされる.肝臓移植が行われている施設は2002年末の日本肝移植研究会の報告によれば45施設で年間症例数は423例(内417例が生体肝移植)であり1),まだ一般病院で行える医療とはいい難い.また成人生体肝移植の場合ドナー側の因子によってグラフトサイズが制限されるので,サイズミスマッチ特に過小グラフト症例ではバリアンスが大きくなり,タイムスケジュールに大幅な変更を余儀なくされる.それに加え症例の約半数を占めるHBV,HCV肝硬変,肝臓癌症例が自費で行われ,保険適用となる原発性胆汁性肝硬変や原発性硬化性胆管炎症例でも医療費の総額は高額になることから包括支払い方式の枠外に置かれる情勢にある.一方,入院から退院までの一連のイベントをスケジュール化し,クリニカルパスで示すことは医師,薬剤師,看護師,栄養士,臨床検査技師らが共通の認識を持ち,スリムで効率の良いチーム医療を提供する上で有益なツールである.
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