カラーグラフ 正しい外科切除標本の取り扱い方 22
乳腺の切除標本の取り扱い方
水田 成彦
1
,
中嶋 啓雄
1
,
鉢嶺 泰司
1
,
阪口 晃一
1
,
大江 信哉
1
,
沢井 清司
1
Mizuta Naruhiko
1
1京都府立医科大学内分泌・乳腺外科
pp.5-11
発行日 2003年1月20日
Published Date 2003/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101297
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はじめに
近年,乳癌の領域において急速に手術の縮小化が進んでいるが,それにつれて癌の取り残しによる局所再発が重要な問題となっている.確実な切除,最低限の侵襲といった理想的な手術を行っていくためには,切除標本の取り扱いに細心の注意を払う必要がある.
従来から治療方針を決定する因子として腫瘍径,腫瘍の浸潤範囲,リンパ節転移の個数などが用いられてきた.また,癌細胞の悪性度の指標としては,組織型,histological gradeなどが用いられ,非常に重要な役割を担ってきた.しかし,近年,分子生物学や遺伝子解析の発展に伴い,分子病理診断による切除癌の悪性度診断,再発の推定が可能となり,今後さらに発展していくものと考えられる1).
本稿では,分子病理診断を行ううえでの注意点なども含めて当科の流れに沿って乳房温存手術における切除標本の取り扱いについて解説する.
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