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特集 良性腸疾患における腹腔鏡下手術の適応と限界
虫垂炎に対する腹腔鏡下手術の適応と限界―EBMに基づいた適応指針
Indications of laparoscopic surgery for appendicitis based on EBM
猪股 雅史
1
,
二宮 繁生
1
,
田島 正晃
1
,
切手 俊弘
1
,
安田 一弘
1
,
白石 憲男
1
,
北野 正剛
1
Inomata Masafumi
1
1大分大学医学部第1外科
キーワード:
虫垂炎
,
腹腔鏡下手術
,
エビデンス
,
適応
Keyword:
虫垂炎
,
腹腔鏡下手術
,
エビデンス
,
適応
pp.35-40
発行日 2007年1月20日
Published Date 2007/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101151
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要旨:腹腔鏡下虫垂切除術は1983年のSemmの報告に始まる.わが国でも腹腔鏡下手術の導入時期から行われており,ほかの腹腔鏡下手術と同様に低侵襲治療として普及しつつあるものの,悪性疾患ほどその適応指針が明確化されていない.本稿では,虫垂炎に対する腹腔鏡下手術の適応について,国内外から報告された論文をレビューし,EBMに基づいた現時点での適応指針について述べた.その結果,腹腔鏡下手術は開腹手術と比較して手術時間が延長するが,創感染が少なく,疼痛の軽減,在院日数の短縮,早期の社会復帰など低侵襲性のメリットが示されていた.一方,穿孔性虫垂炎の場合の腹腔内膿瘍の発生頻度増加などのディメリットも示されており,全身麻酔が必要な状況や経済性も考慮して,さらなる評価が必要と考えられる.一方,診断的腹腔鏡手術として不必要な虫垂切除を減らし得る点が評価されており,術前に確定診断が困難な場合や腹壁の厚い肥満患者など特殊な場合は本術式のよい適応だと考えられる.
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