特別寄稿
医療制度改革における混合診療の意義
飯田 修平
1
Iida Shuhei
1
1㈶東京都医療保健協会練馬総合病院
pp.449-454
発行日 2004年4月20日
Published Date 2004/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100596
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はじめに
社会制度構造改革の一環として,医療制度改革,21世紀における医療のあり方が論じられており,これからが正念場である.次世代が明るい未来を期待できるようにするためには変革が必要である.変革には痛みが伴うが,現役世代がこの峠を越える義務がある.
医療費抑制策が推し進められている.医療は規制が厳しく,また,患者が選択するための情報を得られず,競争原理が働かず,非効率,すなわち,無駄が多いと指摘されている.一方では,医療事故をはじめとする医療機関の問題が指摘され,医療の質向上,すなわち医療機関の総合的な経営の質が問われている.
医療費を抑制しつつ,質の向上を目指すことは至難の業である.なぜならば,質の向上に必要な医療費の負担を誰がするかの議論は放置して,国民や患者の要求水準は限りなく上がり続けるからである.今,必要なことは,国民や患者が求める医療の質の基準を規定し,次いで,それに必要な資源,すなわち費用の負担を誰がするかを決めることである.
規制緩和,公正な競争原理の導入,経営の効率化,公私の役割分担の明確化,受益と負担の関連,すなわち,自己責任を果たすことが求められている.混合診療と株式会社の参入が象徴的意味で議論されている.本稿では,主に混合診療に関して検討する.
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