カラーグラフ 世界に向かう甲状腺疾患診療の新技術・3
甲状腺病変に対する内視鏡補助手術
清水 一雄
1
,
北川 亘
1
,
赤須 東樹
1
Shimizu Kazuo
1
1日本医科大学大学院医学研究科 機能制御再生外科(第2外科内分泌外科)
pp.119-125
発行日 2004年2月20日
Published Date 2004/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100532
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はじめに
内視鏡下手術は,その低侵襲性,整容上の利点から各科領域で日常行われている術式となっている.しかし,甲状腺外科領域においてはYeungら1),Huscherら2)および石井ら3),筆者ら4)の最初の報告以来,6年あまりが経過したにすぎず,本疾患を扱う比較的限られた施設で行われているのが現状である.しかし,近年,その手技は工夫,改善され,国内・外で広まりつつあるといえる.
甲状腺内視鏡下手術手技の着手が遅れたのは,既存腔のない狭い部位に作らなければならない新たな手術操作腔,また甲状腺はとくに易出血性の臓器であり,重要神経血管が近接することからデリケートな手術が要求されるなどがその理由であろう.しかし,甲状腺疾患は圧倒的に女性に多い疾患であるとともに,つねに露出された前頸部に手術創が入ることから,通常手術と遜色ない手術操作腔が得られ内視鏡操作を行うことができれば,主に整容上の利点から内視鏡下手術は,きわめて有用性があると思われる.現在は,各施設から独自の工夫された方法が報告されているが5~7),本稿では,当科における240例を越える甲状腺内視鏡補助下手術の経験をもとに,内視鏡下手術を取り扱う施設で,甲状腺手術の経験があれば何処でも行える,簡便で実用性のある筆者らの術式(前頸部皮膚吊り上げ法による内視鏡補助下甲状腺手術video-assisted neck surgery:VANS法)を示し,適応疾患,手術手技について述べる.
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