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特集 内視鏡下手術の現状と問題点
内視鏡補助下甲状腺手術の現状と問題点—皮膚吊り上げ法(VANS法)
Video-assisted neck surgery
清水 一雄
1
,
北川 亘
1
,
赤須 東樹
1
,
田中 茂夫
1
Kazuo SHIMIZU
1
1日本医科大学第2外科
キーワード:
内視鏡下手術
,
甲状腺
,
低侵襲手術
,
VANS法
,
吊り上げ法
Keyword:
内視鏡下手術
,
甲状腺
,
低侵襲手術
,
VANS法
,
吊り上げ法
pp.1320-1325
発行日 2002年10月20日
Published Date 2002/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904984
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甲状腺の内視鏡下手術は初報告以来5年が経過し,近年内分泌外科分野で一般化しつつある.前頸部には生理的腔がないため手術は操作腔作製と腫瘍切除の2つの作業から成る.操作腔作製法は大別してCO2送気法と前頸部皮膚吊り上げ法があり,切開部位と甲状腺へのアプローチにはいくつかの工夫された術式が報告されている.切離操作には超音波メスが有用である.対象疾患で最も多いのは良性甲状腺腫であるが,悪性腫瘍,バセドウ病に対しても内視鏡下手術が行われている.良性では腫瘍の大きさ,悪性に関してもその細胞学的分類と大きさおよびリンパ節転移の状況など慎重かつ正確な術前の評価のもとに手術適応を検討すべきである.バセドウ病の甲状腺はび漫性腫大を呈し,更に易出血性となっており,手術による残置量の程度で甲状腺機能を調節するという本疾患に対する外科的治療の本来の目的を十分考慮し,手術に臨む必要がある.低侵襲,整容上利点を求めすぎるあまり本来の治療目的がおろそかになり,合併症を作ってしまっては本術式の意味がなくなる.通常の甲状腺外科手術,また内視鏡的手技に習熟し,甲状腺に対する内視鏡手術の限界を評価しつつ行うことが肝要である.
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