Japanese
English
総説
巨大鼠径ヘルニアに対する外科治療と周術期管理
Surgical treatment and perioperative managemant for giant-inguinal hernia
津村 裕昭
1
,
市川 徹
1
,
金廣 哲也
1
,
村上 義昭
2
,
末田 泰二郎
2
Hiroaki Tsumura
1
1広島市立舟入病院外科
2広島大学病態制御医科学講座外科学
キーワード:
巨大鼠径ヘルニア(giant inguino-scrotal hernia)
,
腹部コンパートメント症候群(abdominal compartment syndrome:ACS)
Keyword:
巨大鼠径ヘルニア(giant inguino-scrotal hernia)
,
腹部コンパートメント症候群(abdominal compartment syndrome:ACS)
pp.1465-1471
発行日 2005年11月20日
Published Date 2005/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100263
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はじめに
成人の巨大鼠径ヘルニア(giant inguino-scrotal hernia)は立位において大腿内側中点から下方にまで達する鼠径ヘルニアと定義され,わが国に限らず欧米においても比較的稀な病態である1~26).通常の鼠径ヘルニア手術ではtension-free(TF)法が隆盛を極めており,比較的簡便な手術によって良好な治療成績が提供され,短期滞在手術も普及しつつある.しかしながら,巨大鼠径ヘルニアの手術では,膨大なヘルニア内容の還納(急激な腹腔内圧上昇)に起因する二次的な呼吸・循環器系への影響,すなわち腹部コンパートメント症候群(abdominal compartment syndrome:ACS)に十分な配慮が必要である.MorenoのいうLose their“right of domain”26)を保障する必要がある.ヘルニア門や鼠径管後壁の修復方法,腹圧を腹壁全体で受け止める腹壁再構築の工夫17,18),術前気腹訓練を始めとした腹腔内容量の増大をはかる工夫26~36),術後人工呼吸管理など,修復法や周術期管理に対する特別の配慮が要求される.
本稿では,巨大鼠径ヘルニアに対する外科治療と周術期管理の知見を内外の文献から整理して概説した.
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