カラーグラフ 内視鏡外科手術に必要な局所解剖のパラダイムシフト・9
腹腔鏡下胆管切石術
徳村 弘実
1
,
鹿郷 昌之
1
,
柿田 徹也
1
,
武者 宏昭
1
,
豊島 隆
1
,
久吉 隆郎
1
Hiromi Tokumura
1
1東北労災病院外科
pp.681-685
発行日 2005年6月20日
Published Date 2005/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100104
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◆◆◆
はじめに
総胆管結石症の診断は超音波検査の進歩やCTの3次元表示や解像力の向上,そしてMRCPなどの画像診断によって容易かつ正確になった.同様に,低侵襲化の流れのなかで総胆管結石症の治療も内視鏡的治療が主流となったとされる1).そんななか,開腹外科手術は見捨てられた感すらある.しかしながら,内視鏡的治療には十二指腸乳頭機能障害による結石再発や胆管炎の可能性,そして胆囊温存による弊害などの問題が横たわる.
一方,古色蒼然とした開腹手術でも専門の胆道外科医にかかればその成績は良好で,乳頭が温存され胆囊摘出による結石再発の危惧もないなど,一度の手術治療で後顧の憂いなく治癒が見込める.それをさらに進化させたのが腹腔鏡下手術で,低侵襲性で創が小さく,早期退院・早期社会復帰が可能であるなど利点が多い.現時点では,実行が可能であれば総胆管結石症に対する最も正当性が高い治療であろう.しかし,この腹腔鏡下手術は手術難度が高く,現在は限定された施設で行われているにすぎない.本手術の一般化と定着が望まれるところである.その手技の習得に当たっての攻略の要は胆道の解剖と手術展開にあり,これらは本手術の成否の分水嶺となる.
本稿では,術式の詳細よりもむしろ局所解剖とその炎症などによる変化に対する注意と手技のポイントを列挙して述べたい.
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