Japanese
English
総説
GABA合成酵素(GAD)ノックアウトマウスでみたGADとGABAの作用
Changes in GABA and Neural Functions Induced by Gene Targeting of GABA-synthesizing Enzyme, GAD.
小幡 邦彦
1
Kunihiko Obata
1
1岡崎国立共同研究機構生理学研究所分子生理研究系
1Laboratory of Neurochemistry, Department of Molecular Physiology, National Institute for Physiological Sciences, Okazaki National Research Institute
キーワード:
glutamic acid decarboxylase
,
GABA
,
gene targeting
,
mouse
Keyword:
glutamic acid decarboxylase
,
GABA
,
gene targeting
,
mouse
pp.1034-1040
発行日 2002年12月1日
Published Date 2002/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902036
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はじめに
抑制性神経伝達物質GABAはグルタミン酸が脱炭酸されて作られるが,この反応を仲介する酵素がグルタミン酸脱炭酸酵素(glutamic acid decarboxylase:GAD)であって,哺乳類では二つのアイソフォームGAD65とGAD67とがある(分子量がそれぞれ65,67キロダルトン)。GABAニューロンとは,GADとそれによって合成されたGABAをシナプス小胞に運ぶ小胞型GABAトランスポータ(vesicular GABA trans-porter:VGAT)の両方を発現しているニューロンである。GAD65とGAD67は別々の遺伝子にコードされているが,GABAニューロンには両方が発現している。両アイソフォームのはたらきにどのような違いがあり,それが脳の部位や発生・加齢で変わるのかなどはほとんど分からず,またGABAが減ると脳機能がどう障害されるのか,けいれん以外についてははっきりしていなかった。われわれはこのような問題をしらべるのに遺伝子ノックアウトマウスが役立つと考え,GADノックアウトマウスを作成して解析してきた。ここではその所見から,GADアイソフォームとGABAの体内(試験管内や培養細胞でない)での役割を考えてみる。
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