Japanese
English
特集 高次脳機能のマッピング
3.磁気刺激法による言語機能の研究
Study of Human Speech Function by Magnetic Stimulation
時村 洋
1,2
,
倉津 純一
1
Hiroshi Tokimura
1,2
,
Jun-ichi Kuratsu
1
1鹿児島大学医学部脳神経外科
2川内市医師会立市民病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Faculty of Medicine, Kagoshima University
キーワード:
magnetic stimulation
,
speech
,
dominance
,
handedness
Keyword:
magnetic stimulation
,
speech
,
dominance
,
handedness
pp.123-131
発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901721
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はじめに
言語は動物にはないヒトのみが持つコミュニケーションの手段である。その機能は極めて複雑であり進歩した今日の科学をもってしてもその一部を解明したに過ぎない。しかし大まかではあるものの,言語中枢が大脳半球に存在しかつほとんどの場合左右の機能に偏りがあることが知られている。主に機能している側を優位半球と呼んでいるが,健常成人の大半はこの優位半球が左大脳半球に存在すると考えられている。これは利き手とも密接に関連し,右利きの人のほとんどが左大脳半球,左利きの約7割が同様に左大脳半球優位と言われている32)。言語機能の研究はBrocaの報告以来臨床例の積み重ねにより行われてきた。つまり神経脱落症状と剖検脳の対比,あるいはCTやMRIなど画像所見との対比により言語中枢の局在が確かめられ機能分布図が作成されてきた。しかし,電気生理学的手法あるいは情報工学的手法による言語機能の研究は残念ながら大きな進歩は遂げていなかった。一方,言語性優位半球の判定には,利き手の反対側大脳半球を優位とする考えから質問紙法がスタンダードな検査法として用いられてきた19)。これは神経心理学的研究法の集大成ではあるものの,実際の脳の活動を科学的にとらえる手法のほうがより直接的で望ましいと言わざるを得ない。このように科学的アプローチが遅れて来たのも,言語機能の研究対象がヒトであり動物実験で代用することができないことが原因と考えられる。
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