Japanese
English
総説
躁うつ病の分子遺伝学研究
Molecular Genetics on Affective Disorder:Review
南光 進一郎
1
Shinichiro Nanko
1
1帝京大学医学部精神科
1Department of Psychiatry, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
affective disorder
,
molecular genetics
,
linkage study
,
association study
,
DNA pooling
,
neurotransmitter
Keyword:
affective disorder
,
molecular genetics
,
linkage study
,
association study
,
DNA pooling
,
neurotransmitter
pp.135-140
発行日 2000年2月1日
Published Date 2000/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901557
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I.はじめに
1.躁うつ病とはどんな病気か。
躁うつ病はアメリカ精神医学会の診断基準では「気分障害(mood disorder)」(DSM-III-R/DSM-IV)とよばれている。あるいは「感情障害(affective edisorder)」(DSM-Ⅲ)とよばれたこともあった。本稿では古典的な診断学にもとづき,「躁うつ病」とよぶが,文献検索などでは「感情障害」「気分障害」あるいは「双極性障害(bipolar disorder)」で引かれたい。
この躁うつ病は,うつ病相のみの「うつ病」と躁病相をともなう「躁うつ病」にわけられる。うつ病相の症状としては,不眠・食欲不振・抑うつ気分・自責感などがみられ,いっぽう躁病相の症状としては過活動・多弁・爽快気分などがみられる。うつ病は精神科外来患者の20%,内科外来患者の10%にみられ,「心のかぜひき」といわれるほどありふれた病気である。その好発年齢は30〜50歳である。一般的には抗うつ薬に反応し,予後は良いとされるが一部遷延する場合もある。これにたいして躁うつ病は青年期に始まり頻度は200人に1人とされている。抗うつ薬や抗躁薬に反応し予後が良い場合もあるが,一般的には「躁病相」と「うつ病相」を繰り返し,予後は必ずしも楽観できないことが多い。
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