Japanese
English
特集 小脳変性症をめぐる最近の話題・II
Machado-Joseph病の特徴と遺伝子連鎖
The Characteristics and the Gene Locus of Machado-Joseph Disease
滝山 嘉久
1
,
辻 省次
1
Yoshihisa Takiyama
1
,
Syoji Tsuji
1
1新潟大学脳研究所神経内科
1Department of Neurology, Brain Research Institute, Niigata University
キーワード:
Machado-Joseph disease
,
spinocerebellar degeneration
,
linkage study
,
chromosome 14q
,
trinucleotide repeat
Keyword:
Machado-Joseph disease
,
spinocerebellar degeneration
,
linkage study
,
chromosome 14q
,
trinucleotide repeat
pp.117-129
発行日 1995年2月1日
Published Date 1995/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900743
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
Machado-Jogseph病(MJD)は,常染色体優性遺伝形式をとる脊髄小脳変性症であり,その名は患者の家系名に由来している。本疾患は,当初,ポルトガル領アゾレス諸島に伝わる遺伝性運動失調症であるとされていたが1〜3),現在では,本邦をはじめ,世界各地での報告がある。その歴史はまだ浅く,欧米で初めて報告されて以来20年強,本邦では10年程度であるが,現在では脊髄小脳変性症の骨格の一部を構成するに至っている。
さて,最近のめざましい分子遺伝学的アプローチの発達により,その病因について,これまでほとんど手がかりがつかめなかった遺伝性脊髄小脳変性症も,ポジショナルクローニングの手法により,原因遺伝子の同定が可能になってきた。遺伝性olivo-ponto-cere—bellar atrophy(OPCA)では,前項で詳述されているように,spinocerebellar ataxia 1(SCA1)の原因遺伝子が存在する第6染色体短腕の領域にはCAG反復配列の異常増幅があることが判明し4),またspino cere—bellar ataxia 2(SCA2)の遺伝子座は,第12染色体長腕に決定された5)。加えて最近,遺伝性歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA;内藤—小柳)では原因遺伝子として,第12染色体短腕領域のCAG反復配列の異常増幅が明らかにされた6,7)。
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.