Japanese
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特集 脳腫瘍と遺伝子異常
4.NF2
NF2
竹島 秀雄
1
,
生塩 之敬
1
Hideo Takeshima
1
,
Yukitaka Ushio
1
1熊本大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Kumamoto University School of Medicine
キーワード:
NF2
,
merlin
,
mutation
,
meningioma
,
schwannoma
Keyword:
NF2
,
merlin
,
mutation
,
meningioma
,
schwannoma
pp.529-537
発行日 1998年6月1日
Published Date 1998/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901296
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はじめに
神経線維腫症(Neurofibromatosis)は,歴史的に見てわずかな臨床的特徴を共有する全く別の2つの疾患に冠された名称である。この両者は臨床的特徴も大きく異なっており,また異なった染色体上の別々の遺伝子の変異によって引き起こされる(表1)。Neuro-fibromatosis 1(NF 1)は,von Recklinghausen病の別名で有名であるが,その原因遺伝子は17番染色体長腕に存在し,遺伝子変異によって主に神経外胚葉起源細胞の増殖・分化異常に基づく様々な病態を呈してくる。特徴的な病変は,皮膚の神経線維腫,色素沈着(カフェオーレ斑),虹彩のリッシュ結節,神経系組織の良性・悪性腫瘍の発生などである。その他に骨形成異常,知能障害,脊椎の彎曲などの多彩な症状も呈してくる。一方,Neurofibromatosis 2(NF 2)の原因遺伝子は22番染色体上の長腕に位置しており,変異によってほとんどの症例で両側性の聴神経鞘腫が発生する。その他に,髄膜腫,神経鞘腫,神経膠腫,若年性白内障をきたすこともある(表2,図1)。
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