連載 症候学メモ余滴・11
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)の発見史(1)Smith症例の意義
平山 惠造
1
1千葉大学
pp.1057
発行日 1996年11月1日
Published Date 1996/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901031
- 有料閲覧
- 文献概要
Dentatorubro-pa11idoluysian atrophyを初めて発表したSmith JK et al.(Neurology 8:205,1958)の論文は1例の臨床病理報告であるが,いわゆる脊髄小脳変性症(SCD)の疾病分類を整理するnosologyにとって極めて貴重な意義をもっている。
症例は55歳から,目を見開いてひょこひょこした歩き方となり,5年後の入院時には,言葉は失調性となり,歩行は可能だが失調性で後方へ倒れ易く,踵膝試験は拙劣であるなど一連の小脳症候がある一方,四肢顔面に舞踏アテトーゼ運動が認められる。IQは98と知能障害は軽度で,筋萎縮,錐体路徴候はない。家族歴に特別なことはなかった。発病8年後に死亡し,剖検による主要病変は歯状核,結合腕,赤核の歯状核遠心系と,淡蒼球,ルイ体の錐体外路系とにあった。淡蒼球病変は内節も外節もともに強かった(その後,日本では内,外節の病変の強弱が病型を分ける議論の対象になったが)。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.