Japanese
English
短報
被害妄想で発症した歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)の1例
A Case of DRPLA with Delusion of Persecution in the Early Stage
三上 智子
1
,
車地 暁生
1
,
糸川 かおり
2
,
土屋 賢治
1
,
安宅 勝弘
1
,
鈴木 徹也
1
,
吉次 聖志
1
,
伊澤 良介
1
,
藤谷 興一
1
,
南海 昌博
3
,
渥美 義賢
4
,
融 道男
1
Tomoko MIKAMI
1
,
Akeo KURUMAJI
1
,
Kaori ITOKAWA
2
,
Kenji TSUCHIYA
1
,
Katsuhiro YASUMI
1
,
Tetsuya SUZUKI
1
,
Kiyoshi YOSHITSUGU
1
,
Ryousuke IZAWA
1
,
Koichi FUJIYA
1
,
Masahiro NANKAI
3
,
Yoshikata ATSUMI
4
,
Michio TORU
1
1東京医科歯科大学神経精神医学教室
2埼玉医科大学神経内科学教室
3東京警察病院
4国立特殊教育総合研究所
1Department of Neuropsychiatry, Tokyo Medical and Dental University, School of Medicine
2Department of Neurology, Saitama Medical School
3Tokyo Metropolitan Police Hospital
4National Institute of Special Education
キーワード:
Dentato-rubro-pallido-lusian atrophy
,
DRPLA
,
Delusion of persecution
,
Tardive dyskinesia
Keyword:
Dentato-rubro-pallido-lusian atrophy
,
DRPLA
,
Delusion of persecution
,
Tardive dyskinesia
pp.423-426
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904531
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentato-rubro-pallido-luysian atrophy;DRPLA)は,発病年齢により異なる多彩な症状を示す常染色体優性遺伝疾患である。内藤7,8)は本症を3型,すなわち20歳以下で発症しミオクローヌスとてんかん発作を主症状とする若年型,40歳以降に発症し進行性ミオクローヌスてんかんを呈さず小脳失調と舞踏病アテトーゼが主症状である遅発成人型,20〜30歳代で発症し両型の移行型を呈す早期成人型に分類している。1994年,本症の第12染色体短腕に特異的なCAGリピートの伸長があることが確認され4,5),それとともにCAGリピートの反復回数と,発症年齢および臨床症状に一定の相関,すなわちCAGリピート回数が著しく多い症例は若年型を示し,CAGリピートの伸長が比較的少ない症例は成人型を示す傾向にあることが報告されている4,5)。以前より本症に指摘された表現促進現象には世代間でCAGリピートが伸長することが関与しており,このCAGリピートは正常対照で6〜35,DRPLA症例で54〜79とリピート数に重なりがないことから,遺伝子解析でその診断が可能とされている4,5,10)。今回,我々は被害関係妄想,追跡妄想で発症し,抗精神病薬を主剤とした薬物治療の経過中に舞踏病アテトーゼ様不随意運動および歩行障害が生じ,遅発性錐体外路性副作用を疑われたが,その後小脳失調や人格変化,痴呆症状が顕在化し,遺伝子解析にてDRPLAと診断された症例を経験したので報告する。
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.