連載 症候学メモ余滴・12
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)の発見史(2)—Nosologyを考える
平山 惠造
1
1千葉大学
pp.1154
発行日 1996年12月1日
Published Date 1996/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901044
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前号からのつづき
前に述べた背景から理解されるように,我々は自験4症例を,その出発点であるSmithらの報告に基づきDRPLAと称して,報告することになった。その中でも特に症例1,2はSmith例とともに,運動失調を呈し小脳病変を有して,いわゆる脊髄小脳変性症(SCD)の概念の中に位置づけられると考えた。臨床的には小脳性運動失調と舞踏アテトーゼ運動を呈し,病理学的には歯状核とその遠心系と淡蒼球・ルイ体の病変を主軸として,従来のSCDの疾病分類には見られないものであった。
こうした我々の運動失調と基軸にもつSCDに関する研究とは全く別の視点から,この頃別の研究者によってDRPLA研究がなされていた。それはミオクローヌスてんかん(ME)から出発したものである。遺伝性進行性MEは古くから歯状核病変を有することが知られており,病理組織学的にLafora型,変性型,lipidosis型の3型に分けられていた。その変性型の中で淡蒼球ルイ体病変をも有するものにDRPLAの名が付けられた(小柳ら,精神経誌79:113,1977)。
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