Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
段階的に症状悪化を来した脳幹部海綿状血管腫
Magnetic Resonance Imaging of Cavernous Angioma of the Brain Stem
田村 勝
1
Masaru Tamura
1
1群馬大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Gunma Univiersity School of Medicine
pp.586
発行日 1996年6月1日
Published Date 1996/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900965
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症例 48歳,女性。
1994年2月頃,右口唇のしびれ感が出現し,次第に右半身に広がった。6月24日,左方視で複視が出現し,歩行時のふらつきも顕著となった。7月10日,めまい出現,左眼球は水平方向に動かず,坐位保持も困難となった。7月11日,某総合病院を受診し,脳MRIにて脳幹部に腫瘍性病変,CTスキャンにて高吸収域を認め,出血を伴った脳幹グリオーマが疑われた。脳血管撮影では腫瘍濃染像など異常所見は認められなかった。局所照射20.5Gy行った時点の7月22日,当院に紹介入院となった。入院時,意識清明,左MLF症候群,左外転神経麻痺,左三叉神経2-3枝の触覚,振動覚の低下,左末梢性顔面神経麻痺,右顔面を含む半身の知覚鈍麻,右片麻痺,右手の運動分解,企図振戦,躯幹失調を認めた。CTスキャンで橋左側に高吸収域を認め,MRIで橋左側にT1強調画像で高信号域,Gd造影で辺縁部がわずかに増強され,T2強調画像で同病変部は低および高信号からなる網状のmixed intensity病変と高信号病変部とそれらを縁どる低信号域を示す占拠性病変がみられた。出血を伴った海綿状血管腫と診断し,8月22日,聴性脳幹反応モニター下に第四脳室底経由で病変の全摘出を行った。組織学的には海綿状血管腫であった。術後左MLF症候群,右半身知覚鈍麻,躯幹失調などみられるが改善し,1年後日常生活が自立できるまでになった。
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