Japanese
English
特集 神経疾患に対するgene huntingの最先端
内藤・小柳病(DRPLA)のgene huntingの軌跡
How was the Gene for DRPLA Discovered?
辻 省次
1
,
小出 玲爾
1
,
池内 健
1
Shoji Tsuji
1
,
Reiji Koide
1
,
Takeshi Ikeuchi
1
1新潟大学脳研究所神経内科
1Department of Neurology, Brain Research Institute, Niigata University
キーワード:
DRPLA
,
trinucleotide repeat
,
anticipation
,
positional cloning
Keyword:
DRPLA
,
trinucleotide repeat
,
anticipation
,
positional cloning
pp.323-328
発行日 1996年4月1日
Published Date 1996/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900929
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubral—pallidoluysian atrophy)は小脳歯状核遠心系(歯状核赤核路)と淡蒼球遠心系(淡蒼球ルイ体路)の病変を合併する常染色体優性遺伝性の神経変性疾患で,しばしばその病変部位の英文名の頭文字をとって,DRPLAという略語名で呼ばれている。歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症は1970年代に本邦で発見,報告され1),1982年に内藤と小柳2)により,新潟地方に多くみられた家族性ミオクローヌスてんかんを呈する5家系16人の臨床病理学的研究が発表され,独立疾患として確立されたものである。特筆すべきことは,同一の家系内に,若年の発症でミオクローヌスてんかんを示す症例と,成人発症で脊髄小脳変性症の臨床像を示す症例が混在すること,これらが1つの疾患単位の表現型のスペクトルに含まれることを,臨床および病理学的観察から見抜いたことにある。1994年になりわが国で,われわれ3)のグループと山田ら4)のグループにより,それぞれ独立にDRPLAの原因遺伝子の発見がなされ,疾患概念の確立から原因遺伝子の同定に至るまで,わが国の研究者によって成し遂げられた疾患である。本稿では,われわれのグループがDRPLA遺伝子の発見に至った道筋を紹介しながら,DRPLAの分子遺伝学の最近の成果についても紹介したい。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.