Japanese
English
総説
プレセニリンをめぐって
Recent Advances in Presenilin Research
奥泉 薫
1
,
辻 省次
1
Kaoru Okuizumi
1
,
Shoji Tsuji
1
1新潟大学脳研究所神経内科
1Department of Neurology, Brain Research Institute
キーワード:
presenilin
,
Alzheimer disease
,
positional cloning
,
SEL−12
,
amyloid βprotein
,
apoptosis
Keyword:
presenilin
,
Alzheimer disease
,
positional cloning
,
SEL−12
,
amyloid βprotein
,
apoptosis
pp.797-806
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901332
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はじめに
プレセニリン(presenilin)は1995年にその存在がはじめて明らかとなった蛋白である。この蛋白の遺伝子は家族性アルツハイマー病(familial Alzheimer dis-ease;FAD)の原因遺伝子としてはじめて発見され37),現在多くの研究者の注目を集めているものである。この蛋白を概観するにあたって,まず最初に2つの特徴を挙げておきたい。
まず一つは,この遺伝子はFADという特殊な疾患の原因遺伝子として発見されたという点である。FADはその発症年齢から65歳以前に発症する早発型と,それ以降に発症する晩発型とに大別される(欧米では60歳を境とすることも多い)。このなかでも早発型FADは特に浸透率が高く,急速な経過をとることで問題となっている。早発型FADはこのような臨床像から,何らかの単一の遺伝子が原因となって発症する単一遺伝子病であることが示唆されてきた。最初の原因遺伝子の発見は,英国のHardyらによってなされ,21番染色体上のアミロイド前駆体蛋白(amyloid precursor protein;APP)の遺伝子に突然変異をもつ家系が存在するというものであった15)。その後数年を経て,14番染色体上のプレセニリン蛋白遺伝子が発見されるに至り,早発型FADは単一の遺伝子が原因となっておこる,単一遺伝子病と考えられるようになった。
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