Japanese
English
特集 神経疾患に対するgene huntingの最先端
マシャドー・ジョゼフ病の軌跡
Gene Hunting for Machado-Joseph Disease
垣塚 彰
1
Akira Kakizuka
1
1京都大学医学研究科高次脳科学神経・細胞薬理
1Department of Pharmacology, Kyoto University, Faculty of Medicine
キーワード:
CAG repeat
,
MJD
,
neurodegeneration
,
dominant inheritance
Keyword:
CAG repeat
,
MJD
,
neurodegeneration
,
dominant inheritance
pp.329-332
発行日 1996年4月1日
Published Date 1996/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900930
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I.はじめに
ハンチントン舞踏病(HD)を代表とする遺伝性神経変性疾患は,疾患ごとに特有の神経症状を示すが,一方で,多くの共通する性質を有している。例えば,多くの疾患が優性遺伝すること,発症が中年以降に起こる場合が多いこと,病理像として神経細胞の変性脱落を示すこと,世代に経るごとに発症年齢が早くなり症状の増悪化(アンティシペイション)がみられることがあげられる。このことは,一見すると全く異なる疾患単位である個々の遺伝性神経変性疾患に共通の発症機構が存在する可能性を示唆している。近年,球脊髄性筋萎縮症(Spinobulbar Muscular Atrophy:SMBA)とハンチントン舞踏病(Huntington Disease:HD)の原因遺伝子が次々と同定された1,2)。両者の原因遺伝子は,全く異なる遺伝子であったが,驚いたことに患者の遺伝子では,両者ともCAGの繰り返し数が正常人に比べ異常に多いことが明らかとなった。また,CAGリピートの数と発症年齢,臨床的重症度との間に相関関係が認められた。
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