Japanese
English
特集 脳血管障害の手術適応—update
血管奇形
Surgical Indications for Cerebral Vascular Malformations:An Update
斎藤 勇
1
Isamu Saito
1
1杏林大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Kyorin University School of Medicine
キーワード:
AVM
,
cavernous angioma
,
venous angioma
,
surgical treatment
Keyword:
AVM
,
cavernous angioma
,
venous angioma
,
surgical treatment
pp.125-135
発行日 1994年2月1日
Published Date 1994/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900592
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I.はじめに
近年の診断機器,治療機器の発展・導入は,脳の血管奇形に対する手術適応を微妙に変えるきっかけをもたらすに至った。即ち,MRIの導入は,無症候性の脳動静脈奇形やCTでは診断困難な海綿状血管腫の診断を容易にし,gamma knife(ガンマーナイフ)やLinear accelerator(ライナック)によるradiosurgery(放射線外科)の導入,あるいは,血管内手術(endo—vascular surgery)の発展は,従来手術困難とされた部位のこの種の病変に対しても治療可能な範囲を拡大している。
脳の血管奇形は病理学的に,1)脳動静脈奇形(arteriovenous malformation(AVM)) 2)海綿状血管腫(cavernous angioma) 3)静脈性血管腫(venous angioma) 4)その他 などに分類される1,5)。ここでは,詳しい病理所見には触れないが,AVMは栄養動脈(feeding artery),奇形血管(nidus),および,導出静脈(draining vein)より構成され,nidusからの出血や末梢抵抗の低いnidusによる盗血現象による周辺脳の虚血などにより神経症候を発症するものである。海綿状血管腫はAVMと異なり,血管腫内部には脳組織が介在しないほぼ球形の腫瘤であり,脳血管撮影では明らかな陰影は造影されない。
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