Japanese
English
総説
サイトカインと神経系
Cytokines and Nervous System
篠田 恵一
1
,
大澤 仲昭
1
Keiichi Shinoda
1
,
Nakaaki Osawa
1
1大阪医科大学第一内科
1The First Department of Internnal Medicine, Osaka Medical College
キーワード:
Cytokine
,
Interleukin
,
Interferon
,
neurotrophic factor
,
encephalopathy
Keyword:
Cytokine
,
Interleukin
,
Interferon
,
neurotrophic factor
,
encephalopathy
pp.1001-1011
発行日 1993年11月1日
Published Date 1993/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900552
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はじめに
免疫担当細胞間の調節因子として発見,研究されてきた種々のサイトカインは,その後の研究で,他の臓器においても重要な役割を果たしていることが次第に明らかになってきた。神経系においても免疫系と同様に,サイトカインは神経細胞の成長因子としてや,グリア細胞の増殖・分化など,重要な働きを行っていることが判明してきた1)。また,ウイルスなどの感染症に対する反応としてみられる発熱・全身倦怠感・食欲低下といった症状も,サイトカインによる中枢神経系に対する作用として認識されるようになった。さらにサイトカインは免疫疾患における活動性の指標として,血清中の値の変動などが用いられるようになり,神経疾患でも多発性硬化症などの活動性の指標としての有用性についての報告がなされるようになった2)。さらに,脳腫瘍やウイルス感染,多発性硬化症(MS)などの神経疾患の治療薬としてInterferon(IFN)が用いられるようになった3,4)。一方,悪性腫瘍やC型慢性肝炎の治療薬として,IFNが盛んに使用されるようになり,その副作用としての神経系合併症が注目されるようになってきた5)。このように神経系とサイトカインに関する最近の知見・研究の進歩にはめざましいものがある。
本稿では①神経系におけるサイトカインの産生・作用とその意義,②神経疾患におけるサイトカインの動態,③治療薬としてのサイトカイン,④IFN治療の神経合併症について述べることにする。
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